ここでは単なるインストール方法だけではなく、多少深堀りした内容も紹介します。
MariaDBとは?
MariaDBは、オープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)で、高速性/信頼性/スケーラビリティ1を備えています。MySQL2からフォーク(分岐)されたプロジェクトであり、同じSQLインターフェースを持ちながらも、独自の機能が追加されています。
MariaDBのインストール(Windows編)
インストーラーのダウンロード
公式サイトからインストーラー(最新の安定版)をダウンロードし、実行してインストールします。
インストール環境(2024年12月現在)
- Windows 10 22H2
- MariaDB Version 11.4.4 x84-64
公式サイト:https://mariadb.org/
公式サイトの初期画面で「Download」をクリック
2024年12月現在では「MariaDB Server 11.6.2 Rolling」というバージョンが標準で表示されますが、下の赤枠には「これはローリングリリースです。リリース時点で、最新の長期リリースはMariaDB 11.4であり、5年間保守されます。」と表示されています。
本番環境で運用する場合は「安定板で5年間保守される最新バージョン」をインストールします。
ここではリリース形式3がGA版ではあるものの安定版である「バージョン11.4.4」のインストーラーをダウンロードします。
バージョン11.4.4を選択し「Download」ボタンをクリックしてインストーラーをダウンロードします。
ダウンロード完了後に「MariaDBアカウント」作成画面が表示されます。アカウントを作成するとダウンロードリリース通知や製品の更新情報などを受け取ることができます。
ここではアカウントを作成しないでインストール作業に進みます。
インストーラーの実行
下記はダウンロードフォルダ内のインストーラーです。msi形式なのでダブルクリックしてインストールします。
セットアップウィザード開始画面
- 「Next」ボタンをクリックします。
「エンドユーザーライセンス契約」確認画面
- 同意する(□I accept the terms in the License Agreement)にチェックを入れ「Next」ボタンをクリックします。MariaDBはライセンス契約に「GNU GENERAL PUBLIC LICENSE(GPL)4」を適用しています。
「デフォルトプロパティ」設定画面(1/2)
- ①管理者ユーザー「root」パスワードの設定
パスワードを設定します。確認のため2回入力して下さい。 - ②リモートで「root」を使用できるようにするか?
ここでは必要が無いので✔は入れません。もし必要な場合は✔を入れて下さい。 - ③「UTF8」をデフォルト文字セットとして使用するか?
ここでは✔をいれます。UTF-8は、多言語や絵文字を含むアプリケーションで広く利用される推奨設定です。 - ④「インストール先フォルダ」の指定画面
特に理由が無ければこのままでOKです。変更したい場合は「Browse…」で変更します。
設定が完了したら「Next」ボタンで次へ進みます。
「デフォルトプロパティ」設定画面(2/2)
- ①「Enable networking」外部からの接続許可画面
外部(社内LAN等)からの接続を許可するか否かを指定します。
ローカルで使用する場合は不要ですが通常は✔を入れます。又、通信時に使用するポートは
特別な理由が無い限りデフォルト(3306)にしておいて下さい。 - ②「デフォルトストレージエンジンInnoDB5」の設定画面
Buffer pool size:データとインデックスをメモリ上に保持するための領域
Page size:データとインデックスを格納するために使用する基本的なメモリ領域のサイズ
Page sizeはデータの読み書きやメモリ管理の効率に影響を与えますが、両方とも良く分からない場合はそのまま「Next」で次に進みます。
インストール実行画面
- 「Install」ボタンをクリックしてMariaDBをインストールします。
インストール完了画面
- 「Finish」ボタンをクリックしてインストールを終了します。
MariaDBインストール後のフォルダ構成
MariaDB 11.4.4 のフォルダ構成は以下のようになっています。
フォルダ名 | 内容 |
bin | MariaDBの主要な実行ファイル(例: mysqld.exe , mysql.exe ) |
data | データベースのデータファイル |
lib | 必要なライブラリファイル |
share | 設定ファイルやサンプルデータ |
include | MariaDBの開発環境で使用されるヘッダーファイル |
MariaDBの動作確認
スタートメニューからMySQL Client を起動しMariaDBが正常に動作するか確認します。
rootのパスワードを入力して接続し、「show databases;」(SQL)で現在 存在しているデータベースを表示します。データベースが表示されればローカルでの動作確認は完了です。
Enter password: ******
Welcome to the MariaDB monitor. Commands end with ; or \g.
Your MariaDB connection id is 4
Server version: 11.4.4-MariaDB mariadb.org binary distribution
Copyright (c) 2000, 2018, Oracle, MariaDB Corporation Ab and others.
Type 'help;' or '\h' for help. Type '\c' to clear the current input statement.
MariaDB [(none)]> show databases;
+--------------------+
| Database |
+--------------------+
| information_schema |
| mysql |
| performance_schema |
| sys |
+--------------------+
4 rows in set (0.001 sec)
MariaDB [(none)]>
サービスへの登録確認
「スタート」→「Windows管理ツール」→「サービス」でサービス一覧を表示します。下図のように「MariaDB」が登録されていて、スタートアップの種類が「自動」になっていればOKです。
HeidiSQL によるMariaDB 動作確認
HeidiSQLは、MariaDBやMySQL、PostgreSQLなどのデータベースを簡単に管理・操作するためのGUIツールです。HeidiSQLはMariaDBをインストールすると同時にインストールされます。
HeidiSQLをダブルクリックして起動します。①「新規」ボタンで②「ローカルMariaDBへ接続」し③rootの「パスワード」を入力して、④「開くボタン」をクリックします。
下図のようにデータベースが表示されれば動作確認は終了です。
まとめ
MariaDBは軽量なデータベース管理システムでありながら柔軟性とコスト効率の良さから、多くの業界で採用されています。
又、オープンソースコミュニティと企業サポートの両方から支えられて、現在も積極的に開発が進行しており長期的に信頼できるデータベースとして、これからも多くのユーザーや企業に採用され続けていくでしょう。
このようなRDBMSを学習して習得する事は、今後のあなたの業務においても必ずプラスになります。
これからも一緒に学習していきましょう。
脚注
- スケーラビリティ
システムや機器、ソフトウェアなどが規模や利用負荷の増大に対応できる能力や度合いを指します。日本語では「拡張性」「拡張可能性」を意味します
↩︎ - MySQL
MySQLは、1995年にスウェーデンのソフトウェア企業 MySQL AB によって開発されました。
初期のバージョンから、SQL(Structured Query Language)をサポートし、簡単にデータ操作が行えることが特徴でした。
その後、MySQLは成長を続け、2008年にアメリカのOracle Corporationによって買収され、この買収を機にMariaDBが分岐して開発されることとなりました。
↩︎ - リリース形式
①MariaDB Sever 11.8.0 Preview
正式リリース前のテスト段階にあるバージョン
②MariaDB Sever 11.6.2 Rolling
ローリングリリース(Rolling Release)**モデルを採用していることを意味します。
このモデルでは、ソフトウェアの更新が連続的に行われ、新しいバージョンが定期的に
リリースされるのではなく、常に最新の機能や修正がユーザーに提供されます。
③MariaDB Sever 11.7.1 RC Rolling
「リリース候補」であり、同時に「ローリングリリース」モデルで提供されていることを
示します。このバージョンは正式リリース前に機能や安定性を最終的に調整するために
公開され、ユーザーに頻繁にアップデートを提供する形になります。
④MariaDB Sever 11.4.4
GA(General Availability)リリースです。GA(General Availability)リリースは
一般ユーザー向けに公開され、製品が安定していることを示しますが、
LTS(Long Term Support)リリースと同じレベルでの長期的なサポートが
保証されているわけではありません。
↩︎ - GNU GENERAL PUBLIC LICENSE(GPL)
(GNU一般公衆利用許諾契約書)は、フリーソフトウェア財団(Free Software Foundation、FSF)が定めた、フリーソフトウェアの使用、コピー、配布、改変に関するライセンスの一種です。
GPLは、ソフトウェアを自由に使い、学び、改良し、配布する権利をユーザーに与えることを目的としています。GPLは、特にソフトウェアの自由(free software)を保障するライセンスとして広く知られています。
↩︎ - デフォルトストレージエンジンinnodbの設定
MariaDBには処理に最適化されたストレージエンジンがあります。標準のエンジンはinnodbで高信頼性が求められるトランザクション重視のアプリケーションで、金融システム/eコマースなどで使用されます。 ↩︎